【イベントレポート】 YMCKライブ&サウンドセミナー(後編)
この日は、神戸電子専門学校を会場にしてのACF(アジアコンテンツフェスティバルin神戸)ゴールデンウィークスペシャルの初日。そのスペシャルゲストとして参加した、YMCKにより、ライブ&サウンドセミナーが行われました。今回は、サウンドセミナー再録の第二回です。
●8bitへのこだわり
-YMCKの音楽は、除村さんのお話でもおわかりのように、プログラミングとクロスオーバしてる魅力があります。それと同じく、中村さんの担当しているアニメーション映像も音楽にクロスオーバしてると思うのですが、こちらは中村さんお一人で作っているんですか?
中村:だいたい一人でやりますね。ただ最初のアイディア出しは結構みんなと相談したりしますね。
-こんなソフトがファミコンであったらなーって感じのビジュアルだと思うんですね。でも、実際はファミコンの動作とは違う動きをしていますよね。
中村;そうですね。ファミコンって限定すると難しいので、昔のゲームセンターのゲームくらいの性能まではいいかな?と…
除村:そこがいつもどうしようかって話になってます。本当にファミコンにこだわって8bitの中だけでやるか。でも、それだとつまんなくなっちゃうことがあるんですよね。
中村:あくまでファミコンはベースであれば。
-やせ我慢なとこでもありますね。例えばPS2までは行っては行けないとか。
除村:そこまで行くと、ぼくはもうNOを突きつけて(笑)
栗原:次のPVは…ポリゴン?
除村:(笑)
中村:スーパーファミコンでも「スターフォックス」ってソフトでポリゴンありますから
除村:あるんでしたっけ?
中村:メガドライブもありますし。16bit時代でもポリゴンあります。
-なるほど、ギリギリありでしたね。
-あのアニメーション自体はどういった順序で作るのですか?
中村:だいたい、すぐに曲ができちゃってそれに合わせて作ります。
除村:曲に関しては、アイディアをまとめるのには、曲によって違いますが早いやつだと3日くらい。展開が追いつかなくて、1ヶ月くらいかかって作っていくのもあります。
-それに合わせてシンクロしながらアニメを作って行くと。もちろんPCを使っているとは思っているのですがツールは、なにをつかっているのですか?
中村:そんな珍しいものは使ってなくてフォトショップとアフターエフェクツです。
除村:フォトショップはドットでかくとして最強だと思います。
中村:こだわっているのはマウスだったりしますね。ドットを打っていくのでマウスが重要なんです。僕は初代iMacの、まあるいやつが使いやすいんです。人によると思うんですが、僕はオークションで2、3個まとめ買いとかしてます。
除村:まとめていくらぐらいなの?
中村:1000円くらい(笑)世間では人気ないんですよ。ボールマウスですし。
中村/除村(笑)
-ビデオ、アニメーションを作らない曲って、これまでにあるんですか?
除村:あるんですけれども、ライブをやるときは必ず作ります。ない状態のやつはまだ映像がないからとって、ライブでやらないだけ。ライブでやりたいなと思ったら映像を作ります。
-あと最近お仕事の中で印象的だったのは、テレビアニメ「アラド戦記」のお仕事ですね。既存のアニメ作品のYMCKバージョンをお作りになっているようですが、あれはどういうような行程ですか?やはり最初に曲があってから?
中村:そうですね。あれは珍しく僕が曲部分もやってるんです。
除村:実は結構お互いの領域を行ったり来たりしているんですね。みどりが曲を書く事もあるし。割と領域をまたいで、3人でやっている感じです。
-作品ごと、1曲ごとのコンセプトみたいのは3人でミーティングして方向性を決めるというかたちですか?
除村:「アラド戦記」に関しては中村が曲も映像も。
-既存のキャラクターのアレンジバージョンみたいな形でやってらっしゃいましたね。話変わりますが、YMCKキャラクターのパターンは数年前とちょっとずつかわってらっしゃいますよね?それはやっぱりブラッシュアップしていって今の形になってるわけですか?
除村:そうですね。
栗原:でも前のはもう使わないとかって訳じゃなくて、曲によっては出る時もあります。
除村:僕が、最初に作った元のキャラクターがあって、それが本当にドットが粗い、8bit仕様なんですよ。それはアイコンというかシンボルとして表現する時に、もうちょっと解像度が高くて見栄えのいいやつが欲しい!という事になったんです。それで解像度倍くらいにしたんだっけ?
中村:縦横倍?
除村:それで、キャラクターとして少しかわいいバージョンを作って、両方ともたしていこうという形で今に至ったんです。ビデオでも8bitのサウンドを全面にだしたやつは昔の方のキャラクターを使ってます。
除村:さきほどライブでやったエレベータの曲とか、あれはぼくがビデオ作ってるんです。僕がやると凄く8bitなんですよ。そうなると昔の8bitバージョンになっていきます。

●完成形は音楽でなくたっていい
-今お話し聞いてて思うんですけど、「音楽を作ってる」という感じよりも「作品と音楽をトータルしてパッケージされたメディアを作ってらっしゃる」感じがします。それは意識してらっしゃるんですか?
YMCK:そうですね
-それは、完成系がライブっていうことなんですか?
栗原:完成系はいろいろなものを。どういうものであってもいいなって思っていmす。グッズでもいいですし。最初YMCKのルーツは音楽だったんですよ。だんだん8bitでいろいろなものをジャックしてこうってコンセプトで進んでいって、それがまあライブだったり……。
-まずアウトプットが音楽って決めてる訳じゃないんですね?
栗原:そうですね。
除村:音楽を常に中心において動きたいってのはあります。ただ、それだけに限らずって感じですね。そのなかのひとつがアプリであったりとか。
-あれもちゃんとしたYMCKの作品ということですね。
除村:はい
-間口が広いというかアウトプットの幅がひろいっていうのは戦略的な部分がある訳ですか?
栗原:最初は何も考えてなかったんですよ(笑)でも海外に行って言葉が通じなくてもすごいみんなが楽しんでくれたんです。音楽もそうだし、アプリも楽しそうに使っていただいてるのを見て音楽じゃなくても、いろんなことでとけ込めていったら面白いな、挑戦したいなって言う気持ちに変わっていきましたね。
中村:ファミコンというかコンピューターゲームというのが世界で共通言語になってるっていうのは確実にありますね。
除村:どこの国にいっても「Oh Nintendo」っていう反応なんですね。やっぱり、世界のみんなが、小さいときにファミコンとかで遊んで、その記憶が残ってて、そういうものがどこの国でも共通している。
栗原:でもオランダで「マッピー」が通じなかったです(笑)
除村:ちょっと衝撃でしたね(笑)オランダのライブのステージ「マッピーやる」って言ったらシーンってしちゃって、「えっ」て言う感じになっちゃって(笑)その後、「スペースインベーダー」って言ったらワーってなって。
栗原:その後、「テトリス」とかやったんですけど、お客さんは、その後「マッピー」が気になってしょうがなかったみたいで、最後は「マッピー!マッピー!」ってコールが起こったので、結局マッピーやりましたよ。
-海外に出て行くのに、共通言語になるものがモチーフとしてひとつ持ってるって言うのはすごくすてきなことですね。
栗原:今はインターネットで世界中の人と簡単にコンタクトがとれるので、それは大きいですね。
除村:そもそも最初に海外に行ける事になったきっかけがやっぱりネットなんですよ。最初にYMCKが8bitの曲を作ったときに、ホームページに貼っておいたんですよ。そしたら突然メールが来て「ネットで見たぞ」って話になって、あれよあれよといううちにライブが決まったんですよ。その感じでいろいろ始まって依頼ですね。
-表現方法のチャンネルが広がっている時代の中で、YMCKさんのスタンスっていうのはすごいはまっていますね。
●サウンド系の職業を志す人に
除村:今の音楽業界ご存知の通りかなり厳しい状況になってると思うのですが、知恵を絞って音楽業界という事に凝り固まらないで、幅広くアンテナを広げていけば?と思います僕らはそれを念頭においてやっていますので。
栗原:音楽に限らないことですが、完璧は目指さなくていいと思います。今自分にできることをとりあえず誰かに見せてみる。完璧を目指さずに、今の状態をアピールしていくことが大事だと思います。
中村:作品を作る時に、みなさん、楽しんで作って下さい。つまらない気持ちで作った物は何も伝わらないと思いますので。
-心強いエール、そしてステキなライブ。みなさん本当にありがとうございました。
[プロフィール]
YMCK
栗原 みどり:ヴォーカル/作曲
除村 武志:作詞/作曲/アレンジ/サウンドプロデュース
中村 智之:映像/作曲
男女3人から成る8bitミュージックユニット。
2004年に発売した1stアルバム「ファミリーミュージック」の大ヒットをきっかけに、幅広い世代の支持を受ける。また国内のみならず、フランス、スウェーデン、オランダ、米国、台湾、タイ、韓国等、8カ国以上で国際的なフェスやイベントに出演。映像と完全にリンクしたユニークなライブパフォーマンスは、世界的にも高い評価を獲得している。
CDリリース以外にも、楽曲提供、映像制作、リミックス、 DJパフォーマンス、ゲームサウンド・プロデュース、音楽制作ソフトウェア用の8bitサウンド・プラグイン「Magical 8bit Plug」やiPhoneアプリ「YMCK Player」の開発など、国内外において幅広い活動を展開している。
コラボプロジェクト:浜崎あゆみ/いきものがかり/DE DE MOUSE/東京女子流/小学館コロコロコミック「お菓子刑事」/米ケーブルチャンネル・ニッケルオデオン「YO GABBA GABBA」/バンダイナムコゲームス「太鼓の達人」/任天堂「PiCOPiCT」/SCE「塊魂TRIBUTE」/TX系アニメ「アラド戦記」ほか多数
【イベントレポート】 YMCKライブ&サウンドセミナー(前編)
2011年5月29日「神戸電子専門学校」ソニックホールにて
この日は、神戸電子専門学校を会場にしてのACF(アジアコンテンツフェスティバルin神戸)ゴールデンウィークスペシャルの初日。そのスペシャルゲストとして参加した、YMCKにより、ライブ&サウンドセミナーが行われました。
この日のライブでは、YMCKならではの映像とシンクロした楽曲に加えて、iPadを利用したパフォーマンスも行われました。セミナーでは、音楽づくりと連動したiPhoneアプリや、アニメ制作のお話を伺いました。
-素敵なライブをありがとうございました
YMCK:こちらこそありがとうございます
-今日来てくださってるお客様の皆さんはサウンド系に興味のある方々、学生の方々が多いと思いますが、今日のライブを観て刺激になったと思うのですが、その辺を中心にお話お聴きしたいと思います。まずやっぱり一番ビックリするのがiPadを使った演奏。それから、ファミコン的なアニメーションですね。これら、全部YMCKのメンバーが作られているという所が凄いと思いました。メンバー間の担当など、改めてご紹介いただけますか?
除村:はい、僕が、サウンドとさっきのiPhoneアプリのプログラミングをやってます除村です。
栗原:ボーカルの栗原です。主に二人がちゃんと仕事しているか見張っています(笑)。
中村:映像を担当してます中村です。
●音楽とプログラミングはひとつのもの
-まず最初にお伺いしたいのがiアプリですね。実際どういうきっかけで作り始めたんですか?
除村:非常に技術者っぽい感覚と言いますか、元々僕が、プログラミングが好きなんですね。普通に80年代のパソコンのイメージって皆さん浮かびますか?えーっとですね、僕はそういう世代なんですけども…
栗原:マウスがなかったよね。
除村:そう、マウスがないんですよ。それで立ち上げると画面に「ok」とか出てくるんですよ。「ok」ってどういう意味かって言うと早くプログラム打ってください、っていう意味なんです。それで自分で文字でプログラムを打って、グラフィックを描いたり計算をさせたりっていうそういう作りになっているんですね。
-そういう時代でしたね。
除村:で、プログラムを書いたら、それが動く。それが面白いなって思っていたんですね。でも、しばらくWindowsつかっていたんですけど立ち上げるとokが出てこなくなったんですよ
全員:(笑)
除村:しばらくプログラムから遠ざかっていたんですが、iPhoneのアプリが自分で作れるらしいっていう話を聞いて、調べていたら開発環境がダウンロード出来るとわかりまして、そこから始めるきっかけになりました。
-除村さんは音楽畑の方っていうイメージで捉えていたのですが、それとプログラミングをする、という技術者的な部分は両立しているものなんですか?
除村:僕の中では割と一つのものですね。打ち込みの音楽っていうのは音に理系の感じを持ち込む事があるんです。打ち込みの音楽している人ならわかると思うんですが、ツールの使い方を覚えて数字でアサインを指定したりですとか、僕の中では同じ分野に入っていると思います。
-ちなみに会場に来ていらっしゃる方でプログラミングに興味のある方いらっしゃいますか?
(会場挙手)
-チラホラいらっしゃいますね。やっぱりちょっと近い物があるんですかね?
除村:たぶんそうですね。YMCKの音楽でいうと、ファミコンっぽい音を作るのに、専用のプラグインソフトも作っています。
-音楽そのものをプログラムから作られるんですね。
除村:それがYMCKの音の大部分になっていまして、Macをお持ちでしたらガレージバンドが入っているのでそこにインストールしてもらうとファミコンの音がMacで作れるようになります。(※1参照)興味がありましたらダウンロードしていただければと。
-こちらは、ご自身のために作られたのですか?それともファンサービスですか?
除村:実際自分のためなんですけど(笑)。普通のシンセにはファミコンっぽい音って割と入ってはいるんですよ。ピコピコみたいな。それだけだとちょっと……なにか物足りない感じなんですよ。
-こだわりがあると。
除村:そうなんですよ。ベースの音だと、低音がギーギー言って音割れしちゃうのとか、ノイズをだしたときにドカーンって荒々しい音になる、そういうファミコン特有の音が出せるシンセはないんですよ。それで作るしかないかなって思いました。
-ご自身のために作ったけどシェアしちゃおうと。いい話ですね。ちなみに、そういうものを開発する際は、YMCKの活動として、他のメンバーにご相談するんですか?
●YMCK流プログラミング入門
栗原:いや、いつも勝手に作ってて。出来上がってから知って「いいんじゃない?」(笑)って感じですね。
除村:だいたい勝手に作り始めます。作る前から相談しようとしてもものがないので伝わりにくいのでとりあえず作ってみようみたいな。
-デモテープみたいな感じですね。
除村:そうですね。プログラミング組んでプロトタイプですね。面白いね、と言われたら続きを作ります。
-プログラミングって実際どういった行程でつくれるんですか?相当音楽の作り方とは根本的にだいぶちがうと思うので、客席にいらっしゃる方が実際にトライするとしたら一から勉強するしかないですよね?
除村:まあそうなりますね。基本的にMacだと、デフォルトでついてるものがあるので、それを試行錯誤しながらやってます。最近は結構サンプルがついたようなデータのソフトが結構あって、それをサンプルに改造する。そうすれば多少の知識があれば結構できちゃいます。
除村:あと最近googleの凄さを思い知ってます。わからない事があれば検索でできちゃうところが凄いですね。例えばプログラミングで、ウィンドウを半透明にどうやってするか、そういう課題が出たときにgoogleで検索すると出てくるって言う(笑)そういうのをみながら開発してます。
-一緒に開発される方はいるんのですか?
除村:いや、全部ひとりでやりますね。ちょっとしたサンプルを手に入れてそれを少しずつgoogle先生に問い合わせしながらやっていくと結構できます
-音楽関係の方でプログラムと作曲やってる方はほかにいらっしゃるんですか?
除村:あまりきいたことないですね。たまたま80年代の記憶が今生きているというか(笑)
[プロフィール]
YMCK
栗原 みどり:ヴォーカル/作曲
除村 武志:作詞/作曲/アレンジ/サウンドプロデュース
中村 智之:映像/作曲
男女3人から成る8bitミュージックユニット。
2004年に発売した1stアルバム「ファミリーミュージック」の大ヒットをきっかけに、幅広い世代の支持を受ける。また国内のみならず、フランス、スウェーデン、オランダ、米国、台湾、タイ、韓国等、8カ国以上で国際的なフェスやイベントに出演。映像と完全にリンクしたユニークなライブパフォーマンスは、世界的にも高い評価を獲得している。
CDリリース以外にも、楽曲提供、映像制作、リミックス、
DJパフォーマンス、ゲームサウンド・プロデュース、音楽制作ソフトウェア用の8bitサウンド・プラグイン「Magical 8bit
Plug」やiPhoneアプリ「YMCK Player」の開発など、国内外において幅広い活動を展開している。
コラボプロジェクト:浜崎あゆみ/いきものがかり/DE DE
MOUSE/東京女子流/小学館コロコロコミック「お菓子刑事」/米ケーブルチャンネル・ニッケルオデオン「YO GABBA
GABBA」/バンダイナムコゲームス「太鼓の達人」/任天堂「PiCOPiCT」/SCE「塊魂TRIBUTE」/TX系アニメ「アラド戦記」ほか多数
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GWスペシャル終了!ここから秋までACFは続きます
4月29日、30日の二日間にわたって、神戸電子専門学校で行われた、アジアコンテンツフェスティバルGWスペシャル。大盛況で終了いたしました。4月29日に行われた記者発表では、アジアコンテンツフェスティバル実行委員の方々に加え、スペシャルセミナーで参加された、さくまあきらさんも出席。
また、ゆるキャラ(R)フェスティバルに参加したゆるキャラたちも加わって、にぎやかに行われました。テレビ、新聞含め報道陣の皆様にもかけつけていただき、さまざまな話題を提供する事が出来ました。
29日、30日の両日で、参加者はのべ1500名を越え、秋まで続くアジアコンテンツフェスティバルのスタートダッシュとして価値ある二日間になったものと思います。
豪華ゲストによるセミナーの様子など、追ってレポート記事として掲載してまいりますので、お楽しみに!










