【イベントレポート】KENSHU(ケンシュウ)氏/DJ・サウンドプロデューサー スペシャルセミナー(後編)

2010年4月30日「神戸電子専門学校」北野館ドームホールにて
神戸電子専門学校を会場にしてのACF(アジアコンテンツフェスティバルin神戸)の初日。そのスペシャルゲストとして参加した、KENSHUさんによる、神戸電子在校生向けの、スペシャルなサウンドセミナー、再録の第二回です。
クラブでのDJから、サウンドプロデュースまで、音楽業界のエッジで活躍するKENSHUさんに、メロづくりの実際や、リミックスへの考え方等を伺いました。
【KENSHU】
DJ/Producer
1981年、オーストリア、ウィーン生まれ。オーストリア人の父親と日本人の母親を持ち、幼少の頃よりピアノ、バイオリン、フルート、パーカッションなどクラシック音楽をベースに様々な楽器に親しむ。HIP-HOPカルチャーに多大な影響を受け、12歳よりDJをスタート。
帰国後はJazz、Brasil、Soul、Funkなどを通過しつつ様々なクラブでのDJやプロデュースワークで活動。クラシックをKENSHU独自の解釈でHIP-HOPフォーマットに再構築した作品”dulcet featuring KENSHU”(2008)は外資系レコード店を中心にヒット。
アルバム”THE UNITEDCOLOR”(2008)をリリース後はElectroへ活動の中心をシフト。自らが多大なる影響を受けたHIP-HOP カルチャーへの回答として”B-BOY HOUSE”を提唱。ageHa、AIR、MADO LOUNGEなどの都内有名クラブや国内外のクラブやラジオでプレイ。
圧倒的なDJスキルと様々なジャンルを通過してきた音楽的センス溢れるプロデュースワークは人気ファッションブランド”mastermind JAPAN”とコラボレーションするなど多方面から高い注目を集めている。
VOL2 こだわること、続けること
MC メロに関してはどうでしょう?何かこだわりは?
KENSHU 口ずさめるメロがいいと思いますね。メロディーが乗ると、悲しい、とか、楽しい、とか、わかりやすいものが伝えられると思うんですね。自分が失恋したり、嬉しい出来事が起きた時に口ずさめるのが「自分のメロディー」であったらいいな、といつも思ってるんです。
MC 海外の好きな人が好きなメロの展開と、日本人が好きなメロの展開ってあると思うんですが、ダンスミュージックだと、そのへん曖昧ですよね?
KENSHU 意識はしてないですが、僕はいつもフック(さび)を最初に考えます。そこがないとAメロがあってもしょうがない、と思うんです。フックでいいものが出来ると、もうフックだけでいいや!って気分にすらなるんです。Aメロ、Bメロ、Cメロまで作ったけど、フックだけにしちゃった曲もあります。
MC あまり上手くない人って、いろんな要素を入れて足し算で曲を作って行くんですが、今のは引き算理論ですね。どこまで引けるかが「オシャレ」や「カッコいい」になると思います。
KENSHU 足し算すると、どんどん「ウソ」をついていく感じになりますね。自信が無くてごまかすから、足すんですよ。いかに真っ向から音に向かうか、って事です。それを言えば、ぼくはロックが一番真っ向だと思いますよね。もっとソウルフルに、素直にやるのが一番いいと思いますよ。

●リミックスについて
BGM:「ジブリ In The Mix」もののけ姫/KENSHU
MC リミックスする時っていうのは原曲があるわけじゃないですか?リミックスを作る上で原曲に気をつけている事というのは何かありますか?
KENSHU なるべくオリジナルの雰囲気は壊したくないです。オリジナルを作った人の世界観とか大事にしたいし、リミックスをきっかけにオリジナルを知る人もいるので、新しい雰囲気は出しつつも、オリジナルにも興味を持って欲しい、という思いがあります。
MC ジブリのこれは、どんな感じになりましたか?
KENSHU 正直、最初に思っていた感じとは違った感じになりました。クラブのフロアで聞いたときの事を考えてしまうんで、クラブラウンジで、美味しくお酒を飲める音だったらいいな、と思うような感じに仕上がりました。
MC 山下達郎さんもおっしゃっていますが、アレンジというのは、聞く人のシチュエーションなんですよね。リスナーがどういう環境で聴くか、という事に左右されるという事ですね。
MC 出来あがった曲は、後でご自分で聞いたりしますか?
KENSHU 聴きますね。一週間はヘビーローテーション。自分大好きです(笑)
MC 大事ですね、自分が嫌いなのにアーティストになろうと思ってる人は無理ですよ。

●音楽業界を目指す学生たちにアドバイス
MC 若い世代に勉強しておいた方がいいよ!って事ってなんでしょうか?
KENSHU とりあえず、数聴いた方が勝ちですよ。僕自身、嫌いなジャンルがないのですけど、レコード屋さんで、新しい者を発掘する為にジャケット買いするような努力は必要かな?と思います。
MC 偶然に出逢う音楽もありますからね。
KENSHU それから、もうひとつ。基礎は学校で勉強していると思うんですけど、それとはまた違った自分なりのやり方っていうのは大事なので、時間がある今のうちに模索していった方がいいと思いますね。なんでも聴いてみる。そしたら発見があるし。
MC いろんな音楽が好き、っていうのは、自分の中で混乱しないんですか?
KENSHU 自分立ち位値に混乱します(笑)一番混乱するのは、CDがリリースされて、これHIP HOPじゃないのに、HIP HOPの棚に置かれているとか……。でも、自分の中は混乱しないです。
MC ハウスからポップスまで、いろんな仕事をされていますが、どうやって頭切り替えてるんですか?
KENSHU 食事が変わりますよね。肉を食べるときと魚を食べるときとあるし。さわやか系の曲だと、サラダばっかり食べて、肉食べないで作るときもありますよ。清潔感を生活から出して行こうと!(笑)
MC ちなみに音楽以外で、音楽に跳ね返ってくるような、刺激を受ける事ってありますか?
KENSHU ぼくは今、東京に住んでるんですが、東京ってすごい情報が多くて、音も多くて、イライラすることもあるんです。もともとはアルプス山脈のふもとなんで(笑)ストレスを感じると何も考えられなくなっちゃうという事はあります。だから、僕の場合は、音楽以外だと逆に「釣り」に行くだとか、森に行くだとか、そういう時に新しい音楽が頭の中に浮かんでくる方ではあります。
MC 釣りですか。
KENSHU 特にヘラブナ釣り。ヘラブナ釣りっていうのはちょっと特殊で、浮きの沈み具合で盛んと駆け引きをするんです。それがぼくの中でリズムと一緒の時があって。食いつく瞬間って、どの魚でも毎回一緒なんですよ。クッときて、クッときて、ククッッと!それが、ビートのレイドバックとすごく似てるんです。そこで、ちょっとでも違う事が起きると、新しい発想がわくという(笑)
MC サラダを食べてヘラブナをつればいい音楽が作れる、という理解でいいですか?(笑)
KENSHU ほんと変わりますよ(笑)自分の趣味の事って音楽以外でもあると思うんですが、もっと敏感になって色々感じられるシーンがあるんじゃないかと思います。絵を描く人であれば、筆先を落として離す瞬間までの間だとか。
KENSHU あとは、やっぱり常に音楽に触れる事。食事するときも、家事をする時も、いつも音楽を聴いています。でも、やっぱりルーツになる音楽を聴いてますね。作る事に関しても、素材作りは、日頃からためてます。たとえば、ツールとしてiPhoneでビートを作ってたりもするんですけど、1ループ、4小節を基本毎日作るようにはしてます。
MC 毎日ストックを?
KENSHU ビートだけは毎日作ってます。だから、発注来てからオリジナルだったら完パケで一日で終わらせられます。ストックはあるので。そういう事にも時間を割いたらいいと思います。毎日、音楽に触れている事ってやっぱり大事だと思うんですよ。

■この後、実際にDJプレイを披露していただきました。普段、間近でプロDJのプレイを観るというのはなかなか出来ない事なので、学生たちも興味津々。
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