【イベントレポート】クリエイターズトークセミナー 古賀学氏+feebee氏+TOKYOGUNS氏(前編)

2010年5月2日「神戸電子専門学校」エントランスホールにて
この日は、神戸電子専門学校を会場にしてのACF(アジアコンテンツフェスティバルin神戸)の二日目。ヤングクリエイターズアワード2010の審査員として、初日のオープニングセレモニーから参加いただいた古賀学(映像作家)さん、feebee(イラストレーター)さん、TOKYOGUNS(イラストレーター)さんの3名による、スペシャルなトークセミナーが行われました。

現在、デザインの最前線で活動する3名による豪華なトークセッションという事で、スタート前から会場は高校生、神戸電子専門学校の学生たちで熱気があふれていました。進行は、NORISHIROCKSのアートディレクター、齋藤貴義が担当。テーマは「キャラクターデザインについて考えてみよう」です。
古賀学氏 プロフィール

アーティスト/映像作家/VJ。1972年佐世保市生まれ。ペッパーショップ名義として、フリーペーパー編集発行(1993〜 1996)/村上隆の作品・宣伝デザインワーク(1993〜1997)/コミック・キュー(vol.5〜200・アートディレクション)/G20ジー・ツー・オー(vol.1〜2・アートディレクション+編集)/ガンダム占い(キャラクターデザイン)/トニーたけざきの機動戦士ガンダム漫画(ブックデザイン)/瀬戸の花嫁(デザインワーク)/仮面ライダーW(デザインワーク)など。古賀学名義では、水中で女性を撮影した映像作品を製作している。デートコースペンタゴンロイヤルガーデン(菊地成孔)「STAYIN’ ALIVE」PV/ジェッジジョンソン「Fury」PV/NORISHIROCKSプロデュースによる「&a water」プロジェクト/など。
feebee氏 プロフィール

2002年よりクリエイティブ活動を開始。外見のみならず内面の強さ、美しさをテーマに「強い眼差し」を持った女性像を描く。中でも独特のネオジャパネスクスタイルは、国内はもとより海外でのジャパニーズアートとしての評価も高い。また、アート活動のほかAdobeCS3のイベントでの講演、学校講師などもつとめる。最近の仕事に、エポスカード|EPOS:100 Design CardsやHello!kittyとのコラボレーションなどがある。作品にも強く表れている「和」との関わりも常に意識しており、全米日本酒歓評会金賞受賞酒「麻那姫伝説」のラベルデザインや、作家手ぬぐい、feebee企画デザインによる、提灯や返し文Tシャツなど、和に関わる商品に多く携わる。 2010年カレンダーが全国ロフトにて絶賛発売中。出版物に画集「The art of feebee」がある。
TOKYOGUNS 岩瀬匠氏 プロフィール

1973年生まれ武蔵野美術大学短期大学部デザイン科空間演出デザイン専攻 専攻科卒業大学在学中よりTOKYOGUNSという名義で、クラブのフライヤーデザインをきっかけに、イラストレーターデザイナーとして仕事を始める。前赤坂BLITZのキャラクター「b」を始め、NIKEのCMキャラクター、雑誌ストリートバイカースイラスト連載、香港でのオリジナルフィギュア、SHAKALABBITSのジャケットアートワークなど様々なジャンルで活動。独自のアメリカンテイストと、日本カルチャーの曖昧なリミックス感にブラックユーモアを加えたテイストが好評を得ている。
●キャラクターとの関わり
齋藤 キャラクターを使った商品が人気がある、キャラクターを使った商品が売れている、という認識があるんですが、そのあたりを前提として、なんでみなさんはキャラクターにまつわるお仕事をされているのか?そのあたりから伺いたいんですが、古賀さんはいかがですか?

古賀 まずマンガ、アニメ関係の仕事を頼まれる事が多いです。マンガ、アニメをいじるということは、自ずとキャラクターをいじる事が増えてきますよね。必然的に。
齋藤 feebeeさんの場合は、モロキャラクターっていう事ではないんですが、ぼくはfeebeeさんの作品に描かれているのをキャラクターと認識しているんです。そういう事でいいんですか?

feebee キティちゃんだったら、キティちゃんって名前が確定していると思うんですが、そういうキャラクターではないですよね。ただ、描いているのは、わたしの考える女性像を理想化していつも作品に落とし込んでいるので、名前はないですが「理想の女性」っていうキャラクターなのかもしれません。その時々で髪型とか変わりますが、それはやっぱり一人のキャラクターなのかもしれませんね。依頼の段階で何かない限りは、共通したキャラクターですね。
齋藤 なんで、女性にこだわっているんですか?
feebee まず、最初に描きたいものが女性だったからです。創作意欲が、女の子に向いていたんでしょうね。もともとは、自分が歌を歌いたいって思いがあって、ライブのフライヤーに女の子をモチーフにしたいと思ったんです。マンガやアニメも好きだったけど、ちょっと外れた感じで音楽とか、ファッションに近い部分でスタートしたんです。そうすると「カッコいい女性」みたいなものを描いてみようかな、と思ったんです。今は、動物とかを自分流にアレンジして作品づくりをしてます。
齋藤 TOKYOGUNSさんはアメリカのコミック的な作品の印象が強いんですけど、やっぱりそういうものがお好きだった?

TOKYOGUNS 実家のある福生には、横田基地っていう米軍基地があって、上に飛行機が飛んでたりそういう地域だったんです。で、外国人向けのお店がたくさんあったのでアメリカの文化っていうのになじんでました。親が厳しかったので、反動で、そういうアメリカ文化にある不良性というか、そういう部分ではじけたい、って思いもありました。アメリカンコミックの文化でいうとキャラクターって外せないですもんね。
齋藤 キャラクターでないものを描いてみよう、という感じにはなりませんでしたか?
TOKYOGUNS 毎回、描くモチーフに対して「今回はクマちゃん好きになってみよう」「かわいがってみよう」という気持ちで制作するもので、キャラクターを描くのは楽しいんですよ。
TOKYOGUNS まず、キャラクターってとっつきやすいじゃないですか。
齋藤 今だと、10代から、おそらく50代くらいまで、キャラクターグッズを持ってますよね。付いてると嬉しいものなんですよ。スヌーピーがついてるだけで、財布が可愛く見えたりとか。愛情を注げるキャラクターが付いている事で、そのアイテムに対しても愛情を注げる、というような事ってあると思うんですけど。
齋藤 古賀さんはお仕事でやりづらいキャラクターとかってありますか?
古賀 だいたい、仕事の頼まれ方が、「やってください」ではなくて「興味ありますか?」って来る事が多いんです。例えば、アニメのDVDパッケージをお願いしますと言われたときに、観た事のないアニメ、興味もなかったアニメはやりづらいですよ。メーカーさんも、パッケージのデザインをお願いするなら同じデザイナーでも、好きになってくれる人にデザインしてもらいたい、という事なんだと思うんです。
古賀 そう考えると、自分の観た事無いものを「興味ありますか?」って聞かれても、あいまいな返事しかできないので、そういう仕事はなくなっていくわけです。逆に、今やっている仮面ライダーは、このところシリーズをテレビで観ていたので、二つ返事で引き受けました。
古賀 ガンダムなんかは、仕事をふられたというよりは、自分から「仕事ごと」作りましたよ。20周年の時には、自分で「20周年の雑誌を作りましょう」って企画から売り込んだくらいですから。
●キャラクターと物語

齋藤 では、キャラクターそのものを作ろう、と思ったら、どうしたらいいんでしょうかね?feebeeさんの描く女の子なんかは、既存のキャラクターではないですけど、書き続ければキャラクターになっていくんでしょうか?
feebee キャラクターって好きなものの集合体だと思うんです。わたしの描く女の子っていうのは、色んな人の顔のカッコいい表情だったり、女優さんの好きな顔だったり、誰、っていうんじゃなくて何十人いるたくさんの好きなところのパーツをミックスして、落とし込んで行ったものですね。美人の黄金比とかありますけど、あれの自分版です。それが必ずみんなに好かれるかどうかは解らないんですけど、自分好きなものを凝縮していければ、それはキャラクターとして個性を持つんじゃないかと思っています。
feebee 古賀さんにも、TOKYOGUNSさんにも、それぞれ、みんな理想の黄金比があるとは思うんですよ。それを探す事が早いんじゃないかな?
古賀 それぞれの黄金比こそが、個性です。
齋藤 キャラクター好きって言う人って、ノートの端っこに自分の好きなキャラクターとかを描いた事あると思うんですよ。その延長ですよね?
TOKYOGUNS 自分の分身かもしれない。自分の願望っていうか。僕の描く女の子の理想って、実際の自分のタイプの女の子って、ちょっと違うんですよ(笑)絵の中での自分だから……
feebee わたし、絵に描くにはTATOO入れてたりするとカッコいいな、と思うんですけど、実際のわたしはいれてないですよ。心にはTATOO持ってますけど(笑)
齋藤 心に持っているものの表現が「絵」にあればいいんですね(笑)
feebee こちらの作品はバイカーっていうイメージで描いたものなんです。本当は、全身像があって、片手でメットを持ってるんですよ。わたしはTOKYOGUNSさんと違ってメカくわしくないんですが、バイク乗りの人の心境、コケたら死んじゃうかもしれないけど、命知らずで、走って行く感じ。そのイメージを女性に託して、そういうものを表現したくてTATOOを入れたんですね。
古賀 絵の中に物語があるんですね。
feebee 他の絵に関しても、ストーリー的なものがあった方が面白いですね。例えば、猫の分身の女の子を擬人化するとか、狐の女の子とか、そういうストーリーを持たせてますね。
古賀 ストーリーがあるからキャラクターなんじゃないですかね?人物画とキャラクター画の
違いはそこですよね。
TOKYOGUNS いいキャラクターが出来ると、ストーリーも出来て行きますしね。動きがある事で、見せ方が決まって行ったりすると思うなあ。
齋藤 じゃ、逆に設定からキャラクターを作って行くという事はありますか?マンガやアニメの場合は、お話ありきでキャラクターが生まれるケースが多いと思うんですが。
TOKYOGUNS ぼくは、歌の歌詞から作る事があります。
feebee ひとつ、変わった言葉やカッコいいフレーズや、シーンから生まれたりもします。
TOKYOGUNS 曲を聴いて行くと、そのキャラクターが動き出すような、そういう事ありますよ。そういった意味で物語ですね。
古賀 だから、知らない作品の仕事が出来ないんですよ。
TOKYOGUNS 出来上がっちゃってる物語りがあるのに、知らないと関与しようがない。
古賀 わかってないのに、勘違いしちゃうのが一番恥ずかしいですから。
齋藤 古賀さん、「瀬戸の花嫁」のDVDパッケージやってらっしゃいましたけど、あれは知ってたんですか?(笑)
古賀 あ、あれは知らなかったんですけど、マンンが全部読みましたよ。で、なるほどね、と。勉強もしたんです。マンガ読まないと、デザインも出来ないんです。数年前に「うえきの法則」のDVDのパッケージの時もそうでしたけど、物語を知らなけりゃキャラクターの仕事はできないですよ。
古賀 そういえば、アニメの新番組が始まるので、タイトルロゴのコンペに参加して下さい、っていう仕事があったんです。で、タイトルだけ言われて、どうしようもなかった。
feebee ロゴも、キャラクターと似てるんですね。物語がないと表現出来ない。
古賀 物語とか、世界観をビジュアルで表現しているのが、キャラクターとかロゴとかというものなんじゃないですかね?
古賀 桃太郎とか、白雪姫とか、昔話の人物も立派なキャラクターですよ。絵とセットなのかもしれないけど、物語は必要ですね。
齋藤 じゃあ、これからキャラクターを作ってみたい!という人は、最初に物語を考えた方がいいですか?
古賀 順番はどっちからでもいいでしょう。絵に描いてみて、物語を作って行くのでもいい。
TOKYOGUNS そのためには、日頃の自分の生活で、いろんな経験の貯金をしないと。とにかく、幅広く、色々やってみるとか。
齋藤 今日、会場に来ている、ワケニャンとか、コーベアーとか、イベントがキャラクターを持ったという例なんですが、やっぱり宣伝効果もあるわけです。マスコミにとりあげられやすくなる。ゴミ分別というような、堅苦しいテーマのものでも、キャラクターのおかげで、話聞いてみようか、という事になりますもんね。
feebee ワケニャンに言われたら、ゴミ分別しなきゃな、と思いますよ。
TOKYOGUNS 政党とかもキャラクター作ったりするのもアリかも。
齋藤 観ているだけでも、グッズになっても楽しいんですが、キャラクターがいることで意識を変える事が出来るという面もあるんですね。だから、これから需要はもっと増えてくる気がしますよ。
古賀 神戸電子専門学校にも、コベコちゃんというキャラクターがいますが、学校というイメージが変わりますよ。
feebee 結局のところ、アパレルのヴィトンとかのロゴマークと変わらないと思うんですよ。ロゴがあるだけで、価値が増すというあたり。ただの文房具でも、キャラクターがついているだけで欲しくなる。とか。
古賀 ブランド?その世界観を表したものがキャラクター?
TOKYOGUNS うん、そうかもしれない。
■キャラクターに関する、さまざまな考察がなされ、多くの発見があったトークとなりました。ここから、実際にキャラクターをその場で作ってみよう、というワークショップ形式で行われることになりました。その模様は、また後半戦で。
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